自分の身体と向き合い、チームで動くことを考える!
暑い日差しが照りつける7月30日、たましんRISURUホールの稽古場に緊張の面持ちをした子供たちが集まってきました。《うた・合奏・演技》ワークショプ2日目となる今日は、オペラ公演に臨む上で必要な基礎レッスンが行われます。
「先生の顔が見える範囲で!」「身体に集中!」。児童基礎演技指導の伊奈山明子先生の張りのある声が響き渡ります。この日の稽古は、まず自分の身体を理解し、思い通りに動かすための練習から始まりました。
「どうすれば、もっと高く、速くジャンプできるかな?」。先生の問いかけに、子供たちからは「天井に届くようにイメージする!」「パワーをためるため、しっかり屈伸する!」といった意見が飛び交います。音を立てずに着地するには?と問うと、「つま先からそっと降りる」という答えが。自分たちで考え、実践し、身体の使い方を学んでいくのです。
舞台上で息を合わせるとはどういうことか。その答えの一端が見えたのが、二人一組で鏡のように動く「ミラーゲーム」。どちらがリードするでもなく、相手の呼吸や微細な動きを感じ取り、まるで一人の人間かのようにシンクロしていきます。「何を意識してた?」という先生の問いに、「相手がついてこられるように、ゆっくり分かりやすく動くこと」「体全部を広い視野で見ること」と子供たちは口々に、成功させるため相手を思いやることの重要性を語ってくれました。先生が「素晴らしい集中力!」と声をかけた通り、子供たちの表情は真剣そのもの。舞台は一人ではつくれない、仲間とのコミュニケーションが不可欠なのだと、身体を通して学んだ瞬間でした。
さらに、この日は本番までチームを率いるリーダーとサブリーダーも発表。「舞台の上では先生はいない。チームのみんなで助け合うことになるんだよ」。先生の言葉に、子どもたちの顔つきがキリッと引き締まります。リーダーが中心となってチームを導きながら、先生の指示に合わせて全員で「V」や「ロ」の字といった複雑なフォーメーションを自分たちでつくり上げていく姿に、早くもチームとしての一体感が芽生え始めていました。