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講師からのメッセージ

是枝 裕和

「映画づくりって楽しい」
~映画を通して世界と出会おう~

映画

映画監督

是枝 裕和

1962年生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。
主にドキュメンタリー番組を演出、14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。
主な監督作品は『怪物』、『ベイビー・ブローカー』、『万引き家族』、『そして父になる』など。

―「映画と夏の7日間」では、どんな体験ができますか

夏休みの7日間のプログラムで、映像について学び、映画をつくります。
まず、昔のサイレント映画を観てもらい、映画の歴史に興味を持ってもらったり、ディスカッションをしてもらう。
それから、映画にはいろいろな職業の人が関わるので、実際の仕事現場を見に行きその様子を体験する機会を設けます。
東宝の撮影所に行ったり、効果音をつくる人の仕事を見学したり、カメラマンに撮影の方法を教えてもらったり。
最終的には、子供たちが制作した映画の上映会を東京都写真美術館のホールで開催します。
「映画ってこんなふうにつくられてるんだ」ということを楽しく知ってもらったうえで、制作に挑戦できる機会になると思います。

―今回のプログラムにつながる取り組みについて教えてください

僕は過去にも映画教室に参加したり、自分の撮影現場への見学を受け入れてきたのですが、子供たちが何か新しいことに出会ったり、発見したりすると、目がキラキラと輝き出すんです。

秋田で地元の小中学生に撮影セットを見学しに来てもらった時は、あとで保護者に聞いたところ、子供たちが興奮して家に帰ってきてとても面白かったと言っていたようで。
現場では静かな反応だったのですが 、やってよかったと思いました。
2008年に金沢の「こども映画教室中等クラス」に参加していたある女の子は、その後映像の仕事に就いたようで、偶然再会した際に「ワークショップをきっかけに映像をつくる側になりたいと思いました」と言われ、とてもうれしかったのを覚えています。

小学生の時は自分の両親や先生以外の働く人と接する機会があまりないと思いますし、社会科見学の一つとしても、映画の制作現場を体験するのは面白いことだと思うので、今回もそんな体験ができるように考えています。

―どんな映画ができるのかも楽しみですね

以前、テレビ番組の企画で小学6年生の子供たちと一緒に映画をつくりました。
その時に、町にいる野良猫を撮影したいという班があり、カメラを通して耳の一部が欠けている猫が多いことに気付きました。
最終的に猫の保護活動をしている人に辿り着き取材をしたところ、それは去勢手術済の印であることや、この地区に黒猫が多い理由も判明しました。
これはもう、大人が撮るドキュメンタリーの題材になっていますよね。
それまでただの風景としてしか捉えてなかったものが、子供の目を通して変化していく。そういうことが意図せず起きることにも期待しています。

―ご自身が映画づくりを目指した動機や、幼少期の経験はありますか

僕が子供の頃は、毎日のようにテレビで映画が放送されていました。母親がイングリッド・バーグマンとかハリウッドの女優が出てる映画が好きだったので、夜に一緒に観ていたのが僕の最初の映画体験。小学校の頃です。そこから色々な映画を観るようになって、アメリカン・ニューシネマみたいなものも流行っていたけど、特に趣味という感じでもなくて、どこにでもいる子供でした。テレビドラマも好きでした。大学生になってから、映像の仕事に就くことを考え始めました。

―参加者に伝えたいこと、感じ取ってほしいことはありますか

まずは、映画を「面白い」「楽しい」と思ってもらえれば。その後に映画館で映画を観た時に、「どんなふうに撮ったんだろう」と考えてくれるようになるとうれしいです。

―保護者の方にメッセージをお願いします

日本では、映像のリテラシー教育が遅れていると思っています。
映画を観て「自分はこう感じた」ということを誰かと話し合う機会もなかなかない。
今回のプログラムでは、映像を見てディスカッションする時間も設けます。
これだけ身近に映像が溢れ返り、フェイクも横行している状況で、リテラシー教育が手付かずなのは相当危険なことだと僕は考えています。このプログラムが、学校教育ではまだ手を広げきれてない、映像の情報に接した時に必要な判断力を培う取り組みになれればといいと思っています。

(取材・執筆:吉田 杏)

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