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2026

映画とわたしの5日間 ~「映画って、楽しい!」“正解”のない世界で、自分を表現する~

映画

2026/10/16

映画とわたしの5日間

~「映画って、楽しい!」“正解”のない世界で、自分を表現する~

実施概要
プロの指導のもと、自分たちで物語を考え、撮影、編集を行い、最終日に東京都写真美術館ホールのスクリーンで上映するという「映画づくり」に5日間で挑戦するプログラム。東宝スタジオの見学から始まり、日本を代表する、映画監督の是枝裕和監督や俳優の仲野太賀さん、撮影監督の上野千蔵さんとの交流を経て、子供たちが映画づくりをきっかけに成長していく様子をお伝えします。

■取材日
6月6日(土)プログラム1日目 @東宝スタジオ
6月13日(土)プログラム3日目 @東京都庁、新宿中央公園
6月21日(日)プログラム5日目(上映会) @東京都写真美術館ホール



6月6日(土)
映画の聖地で知る「魔法」の仕組みと、物語の「たね」

プログラムの初日、子供たちが集まったのは数々の名作を生み出してきた「東宝スタジオ」。入口で巨大な壁画やゴジラの像に迎えられ、参加した35名の子供たちの表情は期待と緊張でいっぱいです。

まずは、緊張をほぐすためのアイスブレイクからスタート。「せーの!」の掛け声で同じ答えの仲間を探すゲームや、一人ひとりが「好きな映画」を発表する自己紹介を行いました。お互いの「好き」を共有し合ううちに会場の空気は一気に和らぎ、子供たちの間にも笑顔がこぼれ始めました。今日初めて出会った子供たちは、ここからチームで力を合わせて一本の映画を作り上げるという、大きな一歩を踏み出します。

続いて、本プログラムの監修である是枝裕和監督からのメッセージ動画が上映されました。是枝監督からは、「学校のテストとは異なり、この映画づくりに『間違い』はない」という大切な姿勢が伝えられました。正解のない自由な表現の世界へ挑む子供たちは、その言葉を真剣な表情で聞いていました。
いよいよ、映像の仕組みを学ぶワークショップへ。パラパラ漫画の原理を応用した「ゾエトロープ」の制作を通じ、映画が一枚一枚の写真の重なりでできていることを、手を動かしながら体験します。

その後は、みんなで映画を鑑賞しました。この日上映されたのは、1987年のイラン映画『友だちのうちはどこ?』(アッバス・キアロスタミ監督)。自分たちが暮らす日本とは異なる、遠い国の学校や街の様子を子供たちは真剣な眼差しで見つめます。上映後の感想共有では、「マンションがなくて景色が全然違う」「学校の様子が面白い」といった声が次々と上がりました。さらに、映画のワンシーンから「登場人物がこの時何を考えていたか」を想像し、付箋に書き出すワークにも挑戦。自分とは違う誰かの気持ちを想像する──。映画が持つ「世界を広げる力」を体感した瞬間でした。

お昼休みは、職員や関係者のみが使用できる東宝スタジオ内のカフェテリアで名物の「ゴジラカレー」を堪能。特別感あふれるメニューを前に、子供たちの気分もさらに高まります。

しっかりとお腹を満たしたところで、いよいよ午後のスタジオ見学がスタート! たくさんの木材からセットを作り出す美術作業場や、高さのあるキャットウォークが張り巡らされた巨大なスタジオなどを見学しました。特に盛り上がったのは、「ゴジラスーツ」の保管倉庫。ゴジラスーツがずらっと並ぶ光景を見た子供たちから「おぉ〜!」と声が上がります。「寝かせておくとスーツ同士の素材がくっついたり、変な型がついてしまったりするから、綺麗な状態を保てるよう吊るして保管するんだよ」といった、現場ならではのエピソードが語られました。

その後、最新鋭の試写室で『ゴジラ-1.0』を鑑賞した子供たちは、そのド迫力の映像に「本当にそこにいるみたいでドキドキした!」「どうやって撮っているのかな?」と興奮を隠せません。この刺激が、物語づくりの「たね」となっていくのですね。

この日の締めくくりは、物語を構成する「5つの問い(だれが・何が起きる・じゃまするのは・助けてくれるのは・最後はどうなる)」のレクチャー。主人公の「変化」が物語を面白くするというプロの視点を学び、班ごとに「ハッピーエンドにしよう」「3日間で撮影できる物語じゃないとダメだよね!」などと熱い議論を交わし、自分たちだけの物語を描き始めます。ある班では、物語をつくる上で「著作権」に気づき、「YouTubeで公開するために、既存のキャラではなく自分たちだけのオリジナル怪獣を粘土で作ろう」と話し合うなど、「作り手」としてのリテラシーも学んでいました。さて、どんな映画が完成するのでしょうか。

6月13日(土)
スペシャル講師・仲野太賀さん登場! 演技に「心」を吹き込むとは?

3日目、東京都庁に集まった子供たちの前に、スペシャル講師として俳優の仲野太賀さんが登場しました。仲野さんが「今日は“たいがー”と呼んでね!」と笑顔で語りかけると、会場の緊張が一気に解け、大きな歓声が上がります。

この日の前半のワークショップは「演技」の体験です。仲野さんと共に行った「はぁって言うゲーム」では、同じ言葉でも状況によって「演技」が変わることを楽しく学びました。

さらに、仲野さんとマンツーマンでの即興劇にも挑戦! 参加者を募ると、スタッフの「恥ずかしがる子もいるかも……」という心配をよそに、子供たちからは「はい!」「はい!」と次々に手が挙がりました。「喧嘩をしている相手にお菓子をあげる」という難しい設定にもかかわらず、物おじせず堂々とした芝居を見せる子供たち。見事に演じきった後には仲野さんと笑顔でハイタッチを交わし、会場は大きな熱気に包まれました。

各班の打ち合わせや練習が始まると、仲野さんは会場をくまなく回り、子供たちの相談に熱心に耳を傾けていきました。
「大事なセリフこそ、ゆっくり喋ると気持ちが伝わるよ」
「悪役のセリフは、あえて棒読みの方が怖く聞こえるかもしれない」
仲野さんからの具体的なアドバイスを真剣にきく子供たち。

「作品づくりというよりは、まず映像に触れ、発見していくプロセスが大切」と、是枝監督は子供たちのアイデア一つひとつに耳を傾けていました。
午後からは各チームに分かれて東京都庁と新宿中央公園で撮影を開始! 現場では、物語を形にするための創意工夫が次々と生まれました。水鉄砲を使い「雨」を演出したり、撮影担当の子が「機材の重さを自分の手で感じたい」と三脚なしで粘り強く構え続けたりと、そこにはプロさながらの情熱が溢れていました。仲野さんも各班を回り、「監督、次はどうしますか?」と子供たちの撮影の進行を助けるため、助監督のように必死で支えます。

「答えを与えすぎない」というプログラムの方針のもと、子供たちは汗をかきながら撮影に没頭。「意見を一つにまとめるのは大変だった」という集団制作ならではの葛藤も経験し、試行錯誤の末に作品を完成させた彼らの表情は、自信に満ちていました。仲間と意見を交わし合い、一つの目的へ向かうプロセスを通じて、子供たちは映画づくりの厳しさと、それを超える喜びを全身で受け止めていました。

6月21日(日)
ついに完成! スクリーンに映し出された「私たちの映画」

プログラム最終日、東京都写真美術館のホールは満席の観客を迎え、華やかな活気に満ちていました。自分たちが4日間かけて作り上げた映画の上映会です。会場には、ワークショップで子供たちに寄り添った俳優の仲野太賀さん、撮影監督の上野千蔵さんも駆けつけました。

上映された5作品は、怪獣が大暴れする特撮映画から、友情の絆を描いた学園ドラマ、本格的なサスペンスまで、どれも個性が光る力作ばかり。上映後のトークセッションでは、是枝裕和監督が登壇し、子供たちからの感想に続いて、一つひとつの作品を丁寧に講評しました。
「怪獣を大きく見せるための遠近法の使い方が素晴らしい」
「10テイク撮って結局1テイク目を使うというのは、まさに映画づくりのリアルですね」
「場所の魅力を最大限に活かした演出に驚かされた」

その言葉に、子供たちは誇らしげな、そして少し照れくさそうな表情を浮かべます。5日間にわたって各チームに伴走し、制作を支えてきたのは、是枝監督が率いる制作集団「分福」所属のリーダーたち。リーダーから語られた「当初は主役をやりたがらなかった子が、最後には『サインあげようか?』と言うほど成長した」という報告には、会場から温かな笑いと拍手が沸き起こりました。
振り返れば、最初は初対面で言葉も少なかった子供たち。しかし、作品づくりを行う中で、衝突しながらも、お互いを認め協力し合う「チーム」へと変わっていきました。

「映画って、楽しい!」

上映された5つの作品を観て、子供たちの映画づくりに寄り添った講師陣からも、惜しみない賛辞が送られました。
「永遠に観ていられるほど面白い。自分も初心を思い出して、もっと演技を楽しもうと思った」と興奮気味に語ったのは、特別講師を務めた仲野太賀さん。撮影監督の“せんちゃん”こと上野千蔵さんは、「小学生のうちにこれほど本格的な体験ができるみんなが羨ましい。将来、この中から映画を作る子が出てきてほしい」と、未来のクリエイターたちへ熱い期待を寄せました。そして最後に是枝監督は、時には衝突しながらも無事に走り抜いた子供たちを労い、「構図にも工夫があり、非常に『映画らしい映画』になった」と、その確かな成長を称えました。

「映画づくりって難しいと思っていたけど、そんなことなかった。本当に楽しかった!」
「将来は映画監督になって、自分だけの新しいゴジラを作りたい!」
上映会を終えた子供たちの瞳は、初日とは比べものにならないほど力強く輝いていました。
「映画とわたしの5日間」プログラムを通じて、子供たちは単に技術を学んだのではありません。プロのまなざしに触れ、正解のない映画づくりにチームで取り組むことで、「自分の想いが形になる喜び」と「仲間と一つのものを創り上げる尊さ」を肌で感じたのです。

取材・文:小原明子
撮影:上澤友香[6/13、6/21]
一部写真提供:小原明子[6/6]

「映画とわたしの5日間」ワークショップ制作作品
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「映画とわたしの5日間」ワークショップ制作作品
THE⭐MONSTERS  (ザ⭐モンスターズ)(2026年)

「映画とわたしの5日間」ワークショップ制作作品
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「映画とわたしの5日間」ワークショップ制作作品
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「映画とわたしの5日間」ワークショップ制作作品
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